合同学術大会大会長:内富 庸介(国立がん研究センター)
第33回 日本サイコオンコロジー学会総会 大会長
第25回 日本緩和医療学会学術大会 大会長
この度、2020年の、がんに関連するサポーティブケア、緩和ケア、心のケア、3つの合同大会長を努めさせていただきます。日本緩和医療学会と日本サイコオンコロジー学会は過去3度合同で開催されていますが、日本がんサポーティブケア学会が2015年に創立されてからは、初めてのことになります。がん医学とケアの技術革新と共に、がん患者を取り巻く環境もめまぐるしく変化していますので、今回、ケアに携わる専門家が学術というキーワードで更なるケアを創出するために化学反応を起こすいい機会が提供できるのではないかと確信しております。
今回の大会テーマは、ケアの臨床研究をはじめたときの経験に関係しています。多様な価値観を持った数名のがんサバイバーの方々にサポートグループを導入したときのことです。初顔合わせで緊張の中、趣味を含む自己紹介を経てアイスブレーキング。自らのがん体験、困難をどう乗り越えてきたかを順番に話していくうちに、自らの対処行動が他の患者さんに理解され、時には役立つ実感が得られ、数回目のセッションでは必ずと言っていいほど、グループに参加できていない患者さんに思いが及ぶ。こうしたサポートグループに参加できていない人たちは一体どうしているのだろうかと。サポートグループが終わって現実生活に戻ってから、患者の利他行動が後進の灯火となった経験を多くの方が語られる。
2016年、ケアの臨床試験グループJ-SUPPORT:Japan Supportive, Palliative and Psychosocial Oncology Groupは多くの方々と共に汗を流し立ち上がりました。四つの基本理念が据えられました。
ゴールのために、多様性と対話を繰り返し行うことが強調されました。
今回の三学会の組織委員会の対話も、2016年10月、緊張の中にはじまりました。お互い、近いようで知り合ってこなかったケアの従事者。回を重ねていくと同様に各学会の利点が少しずつ紹介され、理解され、吸収され、他学会の欠点を補う利他が認められることを期待しています。グループの凝集性がもたらす顕著な結果になることと思います。こうした議論が盛んになり学会期間中にもコラボレーションの花が開き、利他の花が、アジアや世界に広がるきっかけになればと願います。分断と自分ファーストの世界を前にして。